公益財団法人 廿日市市芸術文化振興事業団│懐かしの映画上映会 小津安二郎監督特集

ウッドワンさくらぴあ
0829-20-0111
はつかいち美術ギャラリー
0829-20-0222
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌平日)

公演詳細

懐かしの映画上映会 小津安二郎監督特集
開催日
2021年11月24日(水)〜 2021年11月25日(木)
開演時間
【各回完全入替制】
※開場は各上映開始時間の20分前
■11/24(水)
10:00~12:16「東京物語」
13:00~14:53「秋刀魚の味」
15:20~17:25「麦秋」
17:55~19:53「彼岸花」
■11/25(木)
10:00~11:58「彼岸花」
12:40~14:45「麦秋」
15:15~17:08「秋刀魚の味」
17:40~19:56「東京物語」
※新型コロナウィルス感染予防対策の為
 入場に時間がかかる場合があります。
 時間に余裕を持ってお越しください。
会場
ウッドワンさくらぴあ 大ホール
料金

全席自由(税込) 1回券500円、4回券1,500円
※1枚で、全8回のうち1回ご覧いただけます。
※4枚券は4枚綴りになっております。
複数人で分けても使用できます。
※さくらぴあ倶楽部会員100円引(2枚まで)。
※高校生以下無料。
(入場の際学生証をご提示ください)
※ポイント対象外。
ウッドワンさくらぴあオンラインチケットでの取扱いはありません。
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※客席内での飲食は出来ません。予めご了承ください。

チケット発売日
会員・一般 9月5日(日)

親子関係や人生の機微を繊細に描き、独自の「小津調」と言うスタイルを確立し、日本を代表する監督となった、小津安二郎の作品をお楽しみください!

『東京物語』

出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子 ほか

この作品を作るにあたって、小津監督は「親と子の成長を通じて、日本の家族制度がどう崩壊するか描きたかった」と語っている。戦後から8年しか経ていない当時、まだ〈高度経済成長〉や〈核家族〉といった表現がなされていない頃の作品である。尾道に住む老夫婦が、医者の長男や美容師の長女が住む東京に出かける。幸福そうな家庭も経済的には苦しそうである。東京で暮らす昔の同僚も親子関係に不満をもらす。子供たちが計画した熱海への旅行も疲れただけ、唯一の救いは次男の戦争未亡人との一時であった。帰郷の途中に立ち寄った三男の下宿で気分を悪くした母は、尾道へ帰って間もなく死んでしまった。駆けつけた子供たちがあわただしく帰った後、残された老父はしみじみと孤独を噛みしめるのだった。「キネマ旬報」ベストテン第2位。1957年のロンドン映画祭での上映、翌年の英国映画協会(BFI)サザーランド賞受賞が、世界の小津ブームのきっかけとなった。

『秋刀魚の味』

出演:岩下志麻、笠智衆、佐田啓二、岡田茉莉子 ほか

この作品の構想を練っていた1962年2月、生涯独身であった小津は生活を共にしていた最愛の母を失った。その数日前、小津は映画人で初めての芸術院会員となり、喜びを分かち合ったばかりであった。戦後、小津の復活を知らしめた『晩春』(1949、笠智衆•原節子主演)以来、初老の父と独身の娘の関係がこの作品でも踏襲されている。身の周りの世話を娘に頼り、娘の行く末を考えもせずにいた父が、旧制中学時代の恩師と中年の娘がしがないラーメン屋を営んでいる光景を目にし、人生の孤独を感じつつ娘を嫁がせるのだった。恩師の娘を演じた杉村春子は、演技指群の厳しかった小津ですら何も注文をつけなかったといわれているが、無言の立ち居振る舞いはこの作品のテーマを見事に表現している。これまでになく人生の無惨さを描いたこの作品の翌年、小津は端正な作風そのままに、還暦を迎えた12月12日、亡き母のもとへ旅立った。「キネマ旬報」ベストテン第8位。

『麦秋』

出演:原節子、笠智衆、淡島千景、三宅邦子 ほか

「ストーリーよりも輪廻とか無情を描きたいと思った」とは小津安二郎の監督自身の言葉である。娘の結婚と、父母の郷里への隠棲でゆるやかに崩壊していく大家族、その別れの過程が小津監瞥独特の豊かなユーモアと厳密なスタイルで、あたかも自然のように描かれている点に特徴がある。これは戦後に脚本家、野田高梧とのコンビを復活させ、以後遺作まで二人の共同作業を続けさせることとなった『晩春』(1949)の主題をより広く展開したものであり、個々の人物が多彩になったぶん、作品世界の陰影が豊かになっていると言えるだろう。笠智衆、三宅邦子、菅井一郎、東山千栄子らがはまり役とも言える人物造型を見事に演じるとともに、杉村春子は息子の再婚相手に原節子を迎え狂喜する母親の姿を、絶妙な呼吸と身のこなしで表現してみせた。「余白を残す芝居」を心掛けたと言う小津監督の演出の妙は、繰り返し見るごとに明らかとなるだろう。物静かな表面を支える作品の底が厚いのである。「キネマ旬報」ベストテン第1位。

『彼岸花』

出演:佐分利信、田中絹代、有馬稲子、桑野みゆき ほか

娘が勝手に決めてきた結婚相手に腹を立てる頑固な父親の姿をユーモラスに描く、小津安二郎監督初めてのカラー作品。小津監督の言によれば、父がなじみにしている京都の旅館の娘役として大映から招いた看板女優、山本富士子を活かした明るい映画にしたいという会社の方針もあって、色彩映画に手をつけたそうである。小道具や着物ひとつひとつに気を配り、赤が映えるアグファ・カラーをネガフィルムに用いて、色をはぶき、色があって色がないような、つまりは「色即是空、空即是色」の心持ちで撮影に臨んだと語っている。ドラマチックな展開を極力排除し、さりげない会話のやりとりの中に人間のエゴを垣間みせるこの監督特有の手法が、あでやかな色彩とともに、見るものの心に染み込んでくる。母娘を演じた浪花千栄子と山本富士子による京都弁の掛け合いもまた愉しい。里見弴は小津監督の敬愛する小説家で、原作は小津監督の映画化を予定して書き下ろされたものである。「キネマ旬報」ベストテン第3位。

プレイガイド:

ウッドワンさくらぴあ事務室

主  催:

(公財)廿日市市芸術文化振興事業団、国立映画アーカイブ

特別協力:

廿日市市文化協会、文化庁、(社)日本映画製作者連盟、全国興行生活衛生同業組合連合会